【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第64章 64話
「ウイングさん・・・」
彼はテーブルに肘をつき、真剣な表情で斜め下を見つめる・・
私は数秒の沈黙の後、卓上に例の箱を取り出した。
「・・・これは?」
「私に念を教えてくれていたゼノさんから届いたものです。
同封されていた手紙によると、この箱の中身と同じ物をウイングさんが持っていると書いてありました。」
「・・・・なるほど、それでですか・・・。」
口元に手をやりながら視界の端に目を向け、何か思い出したようにウイングさんは立ち上がる
「これが関係していそうですね、先日私の元にも届きました。」
そう言って棚から出した物は・・・手紙と・・
「指輪・・・?」
コト・・と小さく音を立て目の前に差し出された指輪と手紙・・
読んでもいいものなのかとウイングさんを見上げ
彼がうなずいたのを確認してから私は封筒を開けた。
内容は私の事についてなどではなく、ただこの指輪の説明が書かれている・・
『対の指輪について』・・・・
「対・・・という事はもう一つ指輪が・・?」
「君の念を補助する為の道具でしょう」
読んでいる間にお茶を淹れてきてくれたようだ
カップを置きながら席に着き、彼は静かにそう切り出した。
「この指輪は特殊な合金でできているようです・・、ちょっとやそっとの事では変形しない上等な物
更には念を込めやすくしてあります。いわば下地まで済まされた状態ですね。
後は君がこの指輪に念を込め、対の指輪として完成させるだけ」
「私が念を込める・・?」
「はい、神字というものはご存知ですか?」
「あ・・・・、知っています。
物に念を込める為に模様みたいなのを描くんですよね」
「そうです、時間をかけて念を込める事によって
本来以上の力が発揮できたり、条件を難しくしたり・・、より高性能な念が使えるようになります。
そしてこれは君の念を補助する為に、神字を当てる道具です。手紙には他に何と書かれていますか?」
「え・・っと・・『対の指輪の片割は箱の中』・・・
同じ形をしているこの指輪を参考に念を練り、箱の中から出す事がまず第一の課題みたいです・・。」