【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第63章 63話
「謝るの・・オレの方だ・・」
ガシッと肩を掴まれて、身体はまたベットに沈む
キルアは仰向けの私の上に乗ったまま、顔を伏せてそう言った。
「え、どうしたの?なんで・・?」
状況が理解できない。
キルアの顔をどうにか伺おうと頭を起こそうとするけど、肩を強く掴まれていて自分の胸元すらよく見えなかった。
天井とテレビの音とたまに扉の外を誰かが通る音・・・
静かな室内でこの体制のまま、また数秒が過ぎた・・。
堪らず私は声をかける
「ね・・ねぇ、なんなの・・。手紙の事そんなに怒ってないよ・・・?」
すると、肩を掴んでいた手はスルスルと腕を伝って私の両手首を握る
その頃から私の頭を支配していたのは羞恥と恐怖と混乱だった。
「ひっ、ぁ」
何処を見て何をしているか解らなかったキルアの視線の先・・
脇腹に感じた息遣いで私は気付いたのだ。
「ゴメン・・」
暴れたせいでたまたま捲れた腹部
それを見たキルアはきっと思い出してしまったに違いない
最終試験での事を・・・
「大丈夫・・・大丈夫だから、わたし・・その
なんとも思ってないよ、だってほら綺麗に治ってるでしょう・・?」
「ごめん・・・でも、ごめん・・。オレ、解んなくなって・・
やってからお前だって気付いて・・それで・・・でも頭の中で言うんだ兄貴が・・」
うわ言のように「兄貴・・兄貴が」と呟きながらキルアは傷があった場所に額を擦りつける・・
私は初め、何も言えずどうしたらいいかも解らず
ただ恥ずかしさとこそばゆさに身を捩る事しかできなかった。
「っ・・きるあ」
キルアの緩んだ手からそのうち私の片手が解放される
私は咄嗟にその手でキルアの頭を押さえ、額を腹部から退かした・・
そして即座に起き上がり、キルアの様子を確認する
目元は前髪に隠れて見えず、完全に懺悔モードの様だ
暗く重苦しい雰囲気の中、私は一旦離れて座り直した。