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見つめて、声で

第1章 出会いは突然に






この、声は_____……。


混乱する頭の中で通ってきた一筋の声。
聞いたことのある声に肩を跳ねさせながら、恐る恐るその人の声のした方を振り替える。


ボヤボヤとした視界は彼をはっきりと写さなかったけれど、もう直感と聴力で彼を誰か判断していた。


「あれ、ファンの子に捕まった?」


やっぱり、この声は木村良平さん。


面白がるような声色に恥ずかしくてまた私は肩を跳ねさせた。


そんなんじゃないのに。


けれど回りから見たらそう見えてしまってもおかしくない状況なのは事実だ。


きっと木村さんから見たらのぶ君がファンに捕まっているように見えたんだろう。


そんな図々しい女に思われたのかな。


何も言えずに赤くなり俯く私。


その姿を見て、やっと状況が読めたのぶ君は言葉を紡ぐ。


「違いますよ、たまたま僕のことを知っていただけみたいです。」


たどたどしいフォロー。
何回も言葉をつっかえながら、のぶ君は私を庇うように木村さんに笑って見せた。


心の奥が暖かくなるのを感じて、いろんな感情がごちゃ混ぜになって視界が滲む。


頭痛と吐き気と眠気、それに憧れの人に会えたという事実が私をくるくると回した。


「あ、そうなの。」


ごめんね。


申し訳なさそうに謝る木村さん。
謝るということはやはり多少の嫌みが含まれていたんだろう。


いいえ、と弱々しく首を降れば隣にいるユリに気がついたのか、私が具合が悪いのを察したようだった。


のぶ君と同じようにしゃがみこむ木村さん。


けれどのぶ君と彼が違うところは、私の顔を覗き混んだことだった。


「ふぁっ!?」


突然間近に現れた木村さんの顔。


驚きでつい間抜けな声をこぼせば、木村さんは木村さんでそんな私に驚く。


「び、びっくりした。ごめん、平気?嫌な思いさせてごめんね。」


「や、すみませっ……!びっ、びっくりしちゃって……!あのっ、スッピンだしっ……!」


うぅ、恥ずかしいッッ……!!!


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