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見つめて、声で

第1章 出会いは突然に





_______と、その時。


軽やかな音をたてて、先程私が来たときと同じように客が来店た合図が店内に響く。


うっすらと目を凝らせば、男性客三人のようだ。


「いらっしゃいませ~。」


ユリの気だるげな声がこちらまで届く。
彼女のあの反応を見ると常連では無いようだ。


すぐに興味を失った私は元の棚に視線を戻し、またお目当てのものを探し始める。


店内の放送で流れる夏の唄。


その軽やかな明るいメロディとはウラハラに私の心には苛立ちが募った。


「ユリぃ~……。」


私は他に客がいるのも気にして小さめの声で彼女を呼ぶ。
彼女が首をかしげたのを見届けて、来い来いと手を此方にヒラヒラと振った。


ユリは少し呆れた顔をして此方によってきて、「何?」と言葉を紡ぐ。


「ハイキュー、ないよ?」


不機嫌さを醸し出しながら愚痴るようにユリを小突く私。
するとユリは眉を寄せ、訝しげな表情を浮かべた。


「え?だって今日確かに……。」


どこだー?


そう言ってユリも探し始める。
コンビニの明るい蛍光灯がユリの金髪をキラキラと照らし、華やかさを際立たせた。


そんな彼女を良くない視力で眺めること数分。


「……。」


「なに!?あった!?」


ユリに顔を寄せて満面の笑みを浮かべる私。
けれどそんな私にたいしてユリは眉を八の字にさせて、


「ごめん……ないや。」


と、一言。


一瞬してフリーズする私。
そしてみるみる気持ちが落ち込んでいく。


そんな目に見えて落ち込む私にユリは冷や汗を流しながら言葉を放ち始めた。


「ご、ごめん!確かに今日入荷してたんだかどっ……連絡してからハイキュー買った人いないし……。」


無いのかぁ……無いのかぁ。


頭の上にまるで大きな闇を孕んだ雲が乗っているみたい。
重たい。


「ごめん!ホントに!」


だからそんな落ち込まないで~……!!


顔の前で両手を合わせ、金髪のお姉ちゃんの威厳が一欠片も無くなりかねないくらい平謝りをするユリ。


「ううん平気。ユリだってわざとじゃないだろうし……。」


口にしたこの言葉が嘘だってことはきっとユリにもばれている。


分かりやすい自分に悲しさに似た呆れを含む自嘲気味な笑いを私は浮かべ、ゆっくりと立ち上がった。







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