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見つめて、声で

第1章 出会いは突然に




『ハイキュー新刊出てるけどいいの?』


仲良しの友人であり隣人でもある彼女から電話がかかってきたのは午前3時。


いつもなら遅い時間にかけてくるなと腹をたてる私だけれど今日は違う。


その電話をとって、その言葉を聞いた瞬間。


ほぼ寝巻きと化しているジャージのまま、私は彼女のバイト先であるコンビニに走った。


勿論すっぴん。


勿論足元はサンダルで。


目の前のガラス張りのドアさえ鬱陶しい。
イライラする気持ちと、ワクワクする相反した気持ちを抱えながら私はコンビニのドアを乱暴に開けた。


「いらっしゃ……ってじゃん。」


呆れたような顔を浮かべるのはここでバイトをしている窪田百合。


同時に店内に響くのは客の来店を告げる音。


「ハイキューならいつものとこにあるよー。」

「ありがとっ!」


適当にお礼を言いつつ、私は彼女を一瞥する。


金色の髪を後ろでひとまとめにして立つ姿は少し怖いヤンキーのお姉ちゃんという言葉がぴったりだ。


そんな彼女と仲良くなったのは諸々の事情があるのだけれど……。


(とにかく今はハイキュー♪ハイキュー♪)


店内の手前側、奥。


隣に青年雑誌があるのに腹が立ちつつ、それを打ち消すように私はお目当てのものを探し始める。


「あんた、ほんとに好きだね。」


レジから聞こえる鈴のようなさわやかな声。
よく通る透明な声が耳に心地よい。


「ユリだって好きじゃん。」


彼女の言葉に返答をしつつ、眼鏡をしてこなかった私は目を細めながらコミックを左から右へと追っていく。


ヒロアカ(僕のヒーローアカデミア)の一巻をするりと通りすぎて私は一段下の棚に視線を移した。





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