第14章 猫⑭
私は囁く声で『好き』と何度も声に出していた。
声に出せばその感情は更にはっきりとした物へと変わる。
「研磨…好き…」
毛布の中は私達の体温で暖かく、眠る研磨に想いを伝えてからは更に毛布の中が暖かくなった気がした。
抱き締める腕に少し力を入れ研磨の丸まった身体に顔を埋めると研磨の匂いがして、その匂いに安堵を感じてると背中が暖かくなった。
身体を動かした研磨の腕が私の背中に回ったのだ。
「起きた?」
「…………」
「研磨??」
「……ごめん。起きてた」
「じゃあ、聞いてた?」
「…うん」
「…研磨、好きだよ…」
抱き合う私達、私はそのまま研磨の耳元でもう一度想いを囁くと、研磨の腕に力が入り私の頭に研磨が額を当てていた。
「あやね、ちゃんと守ってあげられなくてごめん。これからはおれがいるから…おれの彼女に、なって下さい…」
私だけにしか聞こえないぐらい静かに言ってるのに、その言葉には研磨の強い意志と愛情がある事が痛い程分かった。
研磨の腕の中、私は研磨の温もりと想いをもらい『はい』の一言だけを返事すれば、研磨から『ありがとう』の声。
お互いに抱き合う腕に力が入り、しばらく私達はそのままの時を過ごした。