第14章 猫⑭
深い深い暗闇に一点の光。
その場所に向かうのに何故か足はその場から進ま無い。
息を切らし手を伸ばしても光には届く事は無かった。
絶望感を抱きその場にしゃがみ込んでると一匹の黒猫が足元にすり寄って来た。
鳴き声を上げ私が触れようとした時、私はゆっくり目を開くと、カーテンから溢れた夕陽のオレンジに染まる見慣れた天井が目の前にあった。
変な夢を見たな。
そう感じダルイ身体を起こすと、ベッドの下で研磨が寝ている事に気がついた。
「あ…研磨」
私のわがままを聞いてくれたのに、私はそのまま直ぐ寝たんだ。
申し訳ないのに、嬉しい。
やっぱり私、研磨が好きなんだな。
ベッドから降りて見ると、丸くなって寝てる研磨が可愛いかった。
私も研磨の横に寝て、ベッドから毛布を引っ張りかける。
自分が大胆な事をしてる自覚も、直ぐ近くて眠る研磨を男として意識してる事も全て分かっていた。
横を向けば研磨のまつ毛の一本一本がはっきりと見える。
男の子なのに綺麗な肌…研磨の顔にかかる髪の毛をそっと外し、そのまま眠る研磨に抱きついてみると、どんどん早くなる私の心臓。
こんなにも自分の心臓がうるさくなるんだって初めて知った。
これが……本当の恋、なんだ。