第14章 猫⑭
シンプルな寝室のベッドで眠るあやねのベッドを背に座る。
何かするわけでも無い。
ただあやねが目を覚ますのを待ってるだけ。
毛布から出るあやねの手に気付いて、ためらいながらも優しく触れ指先を軽く握る。
指の先まで暖かくて、むしろおれの方が冷たい。
冷たい手じゃ悪いと思い離して元の姿勢に戻す。
静まる寝室には規則正しい寝息。
おれもあやねのベッドに頭を乗せ天井を眺めていると、突然頭を撫でられあやねを見ると眠そうな顔で笑っていた。
「…研磨」
「起こした?」
顔を小さく左右に振るとおれの頭を撫でる手も止まる。
「ごめんね…迷惑かけちゃって」
「平気。それより体調は大丈夫?」
「ありがとう、大丈夫。眠いだけ」
「そっか。ならまだ寝るといい。おれいたら邪魔だろうから……」
カバンを持って立ち上がり『帰える』、そう伝える前にあやねがおれの手を掴む。
その繋がれた手の先に見える、不安そうな顔。
「いて欲しい?」
「いて、欲しい…迷惑じゃ無いなら」
「迷惑じゃない。おれがいていいならいるよ」
「研磨ありがとう」
安心したのかその後すぐに、あやねは眠りにつき俺はカーテンを片方だけ閉めてた。