第13章 猫⑬
「……なんでわたしが…何だかんだあの2人いい雰囲気じゃない?」
先輩のお礼欲しさにあの人の後をつけてるけど、先輩の方がぜったいにかっこいいのに!!
なんであの人、あの男とデートみたいな事してんの??
黒尾先輩からのメールは『あやねが男と会うから場所を変える時教えろ。試合終わったらそっち行くから!危険な雰囲気になったら誰かに助けを求めろ!間違ってもお前が助けようとすんな!危ないから!』とか、さりげなくわたしを心配してくれる辺り本当に優しくてかっこいい!
メルヘンチックなカフェで1人浮かれてると、あの人が席を立った。
その様子を見てると、男が飲み物に何か入れてる……。
「あれ、ヤバイよね…」
すぐに黒尾先輩にメールを入れて様子を伺ってると、あの人が戻って飲み物を飲んでしまった。
止めれば良かったと内心後悔と不安が募る。
すると、あの人は怒ってお店出ちゃった。
わたしも急いでお会計をして外に出ようとしたけど、男の方が先に店を出て後を追っていた。
慌ててお会計をして黒尾先輩に連絡すると、すでに試合が終わりこの辺りにいるらしい。
「先輩!あの人具合悪そう!どうしよう!!」
『すぐ行く!』
「あー!!あの男いかがわしいお店がある方に連れてってる!!!」
『チッ!!!はぁ、どの辺りにいるんだ!?研磨はそっちから探せっ!!』
電話の向こうには先輩だけじゃなくて孤爪くんもいる事がわかった。
あなたどんだけ愛されてんの……。
嫉妬心が湧き上がり、わたしはその場であの人がホテルに連れてかれる姿をただ傍観している。
その時、わたしの肩を思いっきり掴まれて振り向けば額に汗を浮かべ、走った事で呼吸が乱れる孤爪くんがいた。
「はぁ、はぁ…どこっ!?」
「え…あ、あのホテルに入った」
指を指すと孤爪くんはためらう事無くホテルに入って行く。
すぐ黒尾先輩も来て同じようにわたしに聞いて中へ入って行った。
わたしはその場でスマホを強く握るとスマホを顔に持っていく。
涙を隠すには小さすぎた。