第13章 猫⑬
「なぁ、あのメール何?どゆこと??」
「あやね変な奴に狙われてるみたい」
「…どうすんだよ?」
真剣な顔になるクロ、試合前だから余計目つき悪いんだろけど、クロも怒ってるのが分かる。
「男がバカだったおかげで、あやねと会う場所大体分かってるんだけ。試合の後で大丈夫なのか…」
「試合を抜けるのは……難しいな」
「うん」
すると、同じクラスの女子がおれ達に近付いて来た。
「黒尾先輩!!先輩が呼んだんですか!?」
「あ?……って、なんでいるの?」
クロにそう言われてあからさまにショック受けた女子だったけど、ひるむ事なくまたクロに突っかかってる。
「何言われてもいいです!それよりあの人あそこに……あれ?いない」
「あのさ、さっきから何言ってんの?」
「だから、先輩がす……この前言ってた人です」
「あやね?えっ、あやねいる??」
女子との会話であやねがいた事が分かると、クロが女子の肩を掴んだ。
「あやねの後つけてろ!!」
「へっ!?え、い、嫌です!わたし先輩を見に「いいから!!後で礼はする!」」
女子は顔を赤くして『ぜったいにお礼して下さいね!』って言うと、あやねの後を追う事を約束してくれた。
正直、女子には助かった…簡単な説明をクロが女子に知らせてくれて逐一連絡くれるらしい。
「クロありがとう」
「ああ、あいつがいて良かった。とりあえずは目の前の試合を終わらせる!」
おれは頷くと、試合へ集中する。
早く…勝って終わらせる……。
あやねの事を心に留めるも、勝利の二文字。
それだけを頭に、目の前の相手と試合へと臨んだ。