第13章 猫⑬
あやねのスマホに電話して出た男は、まるで勝ち誇ったように笑っていた。
「……あんた誰?」
『オレ??あやねのカレシー!』
「そんな嘘聞いたわけじゃ無いんだけど?あんた誰だよ…」
『だーかーらー、カレシって言ってんだろ?まぁ、これからカレシになる男が正しいかなぁ〜』
バカにするように言うこの男に苛立ちを感じるも、なぜあやねのスマホから出るのか、そっちが気になる。
「なんであやねのスマホにあんたが出るの?」
『預かってんだよ!んじゃ、切るよ〜』
「待って。なぜあんたが預かってるのか知らないけど、あやねがあんたと付き合う事は絶対に無いよ」
冷たくそう言うと、電話越しでも分かるぐらいおれの簡単な挑発に乗ってるのが分かった。
『……あやねは絶対にオレと付き合うんだよ。絶対にな…へへへ、見てろよ。ちなみにお前何?』
下衆な事でも考えてんだろけど、おれがそんな事させない。
「おれは幼馴染だけど、あやねはそこにいるの?」
『ただの幼馴染に関係無いだろ。それに、明日あやねとデェトすんだぜ?』
「デート??明日おれの試合見に来るって言ってたけど?」
『ははははっ!!そりゃ残念でしたー!すでにオレの方が優先で予約済み〜!!』
よく分からないこの状況から少しでも手がかりを聞こうと話しを誘導すれば、ペラペラと話しだす男。
待ち合わせた場所に時間までも話すこの男がバカでよかった。
あらかた話した男が満足したようで通話を一方的に切られる。
頭の中に集められた情報を繋ぎ合わせると、あやねはスマホを人質にされ仕方なくあの男に付き合うつもりなんだと。
あやねの性格からして、試合前のおれやクロには言わないだろう。
「………何しようとしてんのか分からないけど….絶対にさせない」
いてもたってもいられず、あやねに会いに夜遅くに家を出て家に行ったのに、あやねは家にいなかった。
「はぁ……家にいなよ」
溜め息を吐いて家の前に座る。
しばらく待ってたけどあやねは帰って来なかったから、明日の事もあり仕方なく家へと帰る道中寝てるだろうけどクロにメールをした。