第12章 猫⑫
駅前に行くと先輩が待っていた。
にやけるその顔を思いっきり叩いてやりたい衝動をどうにか我慢すると、すぐに私のスマホを返してくれた。
「ほ〜い!!ごめんね〜スマホ取って!」
「あ、ありがとうございます」
「あはは、なんで謝んの??悪いのオレっしょ?」
返って来たスマホを開こうとするも、既に電池切れになっていて起動する事は不可能だった。
「とりあえず、今日1日だけ付き合ってよ!?それだけ付き合ってくれたらオレあやねの事あきらめっから!!」
「…わかりました。もう、私に関わらないで下さいね?」
「りょーーかいっ!!んじゃ行こっ!」
やけにあっさりとする先輩が私の手を突然握りだし、私は咄嗟に手を引いた。
「やめて下さい!!」
「んな、堅いこと言うなってー!!今日だけ、なっ??いいだろ?」
「よく無いです。私に触らないで下さい」
「厳しいね〜!まっいいや、とりあえずオレについて来てよ!」
先輩の後をついて歩いて行きたい場所を巡って行く。
本当に普通の場所ばかりで、物凄く警戒していたのがバカらしく思うほど何も無く時間だけ進んでいった。
お昼も男だけじゃ行きづらいメルヘンチックなカフェでのランチに私は私で、そのメルヘンな内装に若干心が浮き上がっていた。
「ここ可愛いですね」
「だろ?あやねは何飲む?」
「じゃあ、コーヒー頼みます」
可愛いらしい制服を着るウェイターさんに注文をすると、すぐに二つコーヒーのカップを持って来てくれた。