第12章 猫⑫
曇り空が広がる翌日。
私は憂鬱な気分で起き上がった。
研磨達の試合の時間も聞けずだったので、何時に音駒高校に行けばいいのかも分からない。
「どうしよう……聞きに行こうかな…」
大学までは家から30分かかる。
早めに学校寄って試合見てから行こう。
私はなるだけ肌が露出しないような服を選び、色気とはかけ離れた地味な格好をした。
家を出て学校へ向かうと既に体育館にはバレー部が身体を動かしていたのだ。
私は体育館へは入らず扉の部分から中を見ると、研磨とクロの後ろ姿を見つける。
真剣なその表情に、私は涙が出そうになった。
こんなに真剣になる研磨を見てたいのに、あの憎ったらしい先輩が頭を占めてる。
すると、後ろから女の子が声をかけてきた。
「あの、この前来てた人ですよね?」
「え?あ…体育館の前にいた…」
その子は以前クロに恋心を持っていた子だと気が付く。
あの時最後は睨まれて終わった事を思い出し少し身構えると、女の子から『黒尾先輩となんでお付き合いしないんですか?』ってまたクロの事を聞いてくる。
疑問に思ったのはまるで私とクロの事を知った前提で話す事。
「えっと、私とクロは幼馴染なだけで付き合う事は無いよ?」
「じゃあ…なんでここにいるんです?」
「それは、幼馴染が練習試合するから。かな」
苦笑いを浮かべて答えると女の子から思いっきり睨まれた。
「付き合う気無いなら先輩に気を持たせるような事しないで下さい!」
それだけ言うと女の子は体育館の中へと入って行った。
私はまた大きな溜め息を吐き、体育館にいる研磨を見ればボールを上に上げてそれを部員が打つ。を繰り返しをしてる。
正直ルールもよく分からないから今何の練習をしてるかも分からない……それでも、真剣に勝つための練習をしてるのだけは分かるから、私は二人の姿を少し見てから音駒高校を出たのだった。