第12章 猫⑫
内装同様にカップも猫足のつく可愛いらしいカップに私は先輩と一緒だと言うのに口元が緩む。
「あやね、口元についてる」
「え?汚れてますか?」
先輩が自分の顔で場所を教えてくれるので、拭き取るもまだ付いてると先輩に言われ、私は先輩に断りを入れてからトイレに行く事にした。
トイレの鏡で見るも特に汚れてる様子は無かった。
「見間違いかな?」
私は席に戻ると先輩はすでにコーヒーが空にになっていた。
私も席に着いて一気に半分を飲む。
「先輩、コーヒー飲み終わったら私もう帰ります」
「もう帰る??」
「はい、会いたい人がいるので…」
「ふーん…それ高校生?」
「…何で…」
私が怪訝な顔を作り見ると先輩は嫌な笑みを浮かべた。
「ごめんな、昨日電話かかってきたから出たんだよ」
「なっ!!…勝手に出るなんて…」
お店の中では声も荒げられず、怒りを抑えるのがやっとで、私はコーヒーのお金をテーブルに乱雑に置くと荷物を持ちお店を出た。
少しして先輩が後を追って来るも私は逃げるように走ると、突然目の前が歪み気分が悪くなったのだ。
「うっ……」
「はぁあ、やっと効いたか…」
「…何…」
意識が遠退く間際、先輩のにやつく顔を最後に私は意識を失ったのだった。