第6章 猫⑥
「やっぱめっちゃカッコいい!!」
「マジ惚れるわー!!背も高いし、彼氏になってくんないかなー!」
「黒尾センパイ今フリーっしょ?前の子フラれらとかで泣いてるの見たから」
一人の女子から出た“黒尾”と言う名前に過剰に反応していた。
女子三人の向こうにはクロも研磨もいるバレー部なんだって。
変に早まる心臓になぜか背筋が冷える。
すると、三人のうち私と同じ黒髪の女子が私の存在に気が付き、他の二人に何かヒソヒソと話出した。
きっと怪しい奴だって思われたかな?
「えっと、怪しくないよ?ここの卒業生!」
「はぁ…あっ!!あたし見た事あります!!確か黒尾先輩と孤爪くんの幼馴染の先輩でしたよね??」
急に声色を変えて私に近付くその子に頷くと三人が興奮気味に詰め寄って来て、その熱気に私は少し後ずさる。
「黒尾センパイの幼馴染とかうらやましいです!!」
「幼馴染なら今先輩に好きな人いるとか知ってます??」
「それちょー聞きたい!!」
「あんま大きな声出すと怒られるから…」
私の言葉など聞く耳を持たない女子達のヒートアップする声に焦っていると、勢いよく体育館の扉が開き話題の中心になっているクロが苛立った表情で体育館から出て来た。
「あのさー!!今練習中っ!!見るなら静かにしろ……あやね!?」
「あ、ごめんなさい…」
そりゃ驚くよね。
私は取り敢えず苦笑いを浮かべ謝った。
すると練習中と言った本人が、つかつかと早歩きで私の前に来ると腕を強く握られた。