第3章 猫③
部活帰りに見上げる空には紫が混じって辺りを暗くしていく。
その空から生暖かい風が髪を揺らす。
きっとここにあやねがいたらあの長い髪の毛も同じように揺らしてるんだろうな。
なんで思い出すのはいつもあやねの髪なのか、そんな事をふと考えてるとクロの声で思考は止まる。
「おい研磨!!今日なんかあったのか?」
「……別に、何も無い」
「じゃあ、なんで集中してねーの??」
背の高いクロがおれの顔を覗き込む為に屈んで見るけど、おれの口からあやねの名前を出す事は無い。
「話聞いてんのかよ!?」
「聞いてる」
「ったく!!よし決めたっ!今日このまま俺の部屋で反省会だからな!!そうと決まりゃすぐ行くぞっ!!」
辺りの暗闇に映える赤色のジャージ。
クロはいつだっておれが暗闇に止まらないように明るく照らして進む。
そんな照らされる道を少し遅れておれは後をついて歩く、クロが進み過ぎれば後ろを見て『研磨遅いっ!』ってその場で止まっておれを待っててくれる。
「クロごめん。ありがとう…」