第3章 猫③
バレーは別に好きでやってるわけじゃない。
それでもやるのはおれがいなくなると周りが困るだろうから。
いつも通り体育館の屋根が視界に入る中ボールを上げて仲間へ落とす。
練習はあんまりやりたくない、けどクロに『付き合え』って言われたら仕方が無いから付き合う。
昨日、あやねと別れた後やっぱおれの事話したのかな。
なんでこんなに気になるんだろ。
「ーーー!!研磨!?」
名前を呼ばれハッとした。
今部活の練習中だった、よく見てみればおれが上げたトスはクロを越えて落ちたみたいでコートの外で転がっていた。
「あ……ごめん」
「おーいー!!研磨何ボケっとしてんだぁ!?」
クロの腕がおれの首に力を込めて絡まる。
正直痛いし重い。
こんな調子で今日の部活は散々な結果で終わった。
あやねの揺れる黒髪、あやねの困ったような笑顔。
何度も繰り返し頭の中に現れるあやね。
なんでこんなにあやねでいっぱいなんだろ。