第18章 *猫と私③
「あの、クロ先に帰ったのでそう伝えてとの事です…」
「あいつ先に帰ったのかよ…わざわざありがとうございます」
またしても頭を下げる私達。
するとリエーフくんが私の顔をまじまじと見始めた。
「あ、あの??」
「いや〜お姉さんすっごくキレイっすよね?」
「そんな、とんでもない!!リエーフくんの方が綺麗だよ!」
「「「えっ??」」」
私の“綺麗”にその場の3人が同時に声を出し、リエーフくんを見た研磨と夜久くんが顔を見合わせて笑う。
「ははは、どこがっスか!?こいつただデカイだけっスよ!!」
「あーっ夜久さん!!ただデカイは無いじゃないですか!!こう見えて俺エースですから!!」
親指で自分を指し、どうだって感じにポーズをとるリエーフくんがなんか可愛い。
「ふふ、凄いんだねリエーフくん」
「でしょ!!さすがお姉さん!!で、名前なんてゆーんですか??」
「私は「もう行こう…」」
私が名前を言おうとしたら研磨に腕を捕まれ強引にコンビニを出た。
研磨が傘を差して一緒に入って歩き出す研磨はやっぱり機嫌が悪い。
「…研磨?」
「何?」
「あのね、私、コインランドリーに…」
何となく言いづらくて口ごもると、雨の音でかき消されてたのか研磨が足を止め私の顔を見た。
「何?」
「あ、私コインランドリーに洗濯物が…」
「取りに行くの?」
「はい…」
「じゃあ、おれも行く」
研磨が『どこ?』って言うので、私は『こっちだよ』って指を指して2人並んで歩いて行く。
すぐ近くだからそんな時間はかからないのに、無言でいる時間は思ってる以上に長く感じた。
洗濯物はまだ終わってなかったので、用意されているイスに私達は並んで座るも、やっぱり不機嫌な研磨は私を見る事無く黙っていた。
「……………」
「……………」
「………研磨、怒ってるよね?」
「…………何で?」
「だって機嫌悪いでしょ…私何かした?」
「何かした自覚ある?」
「……ごめん、分からない」
気まづい空気の中、洗濯物が回る音だけがやけに大きく聞こえる。