第2章 フライングゲット〔白石蔵ノ介〕*
ばさ、と乱暴にシャツを脱ぎ捨てた蔵の、鍛え上げられた身体に見惚れる。
身体を重ねるのはもちろん初めてではないけれど、これからこの身体に抱かれるのだと考えたら、もうそれだけで頭がおかしくなりそうで。
グレーの瞳と視線がぶつかった瞬間、蔵が私の中に入ってきた。
いつもは痛くないかと気を使ってくれるのだけれど、その時間さえ惜しいと言うように、性急に。
「あ、っんん…くら、ぁっ」
「ッ…き、つ」
苦しそうな顔に触れると、そんなに煽らんとって、と蔵は掠れた声で途切れ途切れに言葉を継いだ。
律動が一気に加速して、私は呆気なく達してしまう。
それでも蔵は、動きを止めてはくれなくて。
「や、ぁんッ! イッた、ばっかり…っ」
「堪忍、なぁ…今日、止まらへんねんっ…」
「ふぁあ、っんん…ンッ!」
余韻の残る身体にさらに打ち込まれて、怖くなってしまうほどに快感が増幅する。
迫り来る大きな波から逃れようと腰を引いたら、蔵の腕がそれをさせまいと押さえつけてきて。
生理的な涙が、溢れてくる。
「だ、めっ! へん、になるッ、…んンああぁっ!」
「あかん、俺もや…っ、く…」
お腹の上で欲を吐き出そうとした蔵が自身を引き抜いた瞬間に、何かがパンと弾けたような、初めての感覚。
大きな波が襲ってきて堤防が決壊するように、快感が恐怖を上回って。
私は蔵のベッドがびしょ濡れになるのを感じながら、意識を手放した。