第4章 ホーンテッド・スクール〔日吉若〕
「そろそろ理科室行かないと怪しまれるぞ」
「…もうドッキリないよね?」
「どうだろうな」
「えー! なんで!」
立ち上がった日吉が、ぐっと私の手を強く引いた。
ふらつきながら、力の入らない両足をなんとか踏ん張る。
生まれたての子鹿みたいにふらふらしていたら、日吉の腕が腰に回されて。
お互い薄着だから、日吉の筋肉質な身体を肌で感じて、鼓動が一段と早まった。
「こうしてれば怖くないだろ」
「ん」
「理科室、行くぞ」
「……優しい日吉が一番怖いかも」
「置いていかれたいのか?」
「そ、そんなことは! ダメ、置いてかないで!」
日吉が怖い話や肝試しが大好きで、跡部会長にも率先して頭を下げて使用許可を取っていたことを知ったのは、ずいぶん先のことだった。
ちゃんと付き合っていけるかどうかが真剣に心配になったのは、言うまでもない。
fin
◎あとがき
読んでいただき、ありがとうございました!
初・日吉、いかがでしたでしょうか?
夜の学校で肝試し、絶対怖いですよね…たとえ日吉が手を繋いでくれていたとしても。
…なんて書くと、夢も何もなくなってしまうんですが。笑
怖いとか、恐怖という感情をどう表現するのかがとても難しくて、今回はずいぶん苦労して書き上げました。
実際に怖いものを見て背筋が凍る、というのではなくて、なんとなく怖くてビビってるんだぞという、あの感じ。
どなたか正解教えてください。
タイトルは、夢の国にあるおばけ屋敷(呪われマンション)から。
学校は呪われているわけではないでしょうし、こちらもそういうつもりで書いたわけではありませんが、なんとなく雰囲気が出るかなと拝借。
これまでの中では、いちばん夏っぽい話になったのではないかと思っています(え、そんなことない?)
少しでも楽しんでいただけたのなら、とても嬉しいです。