第19章 ★王者の休日(5)
3時間程度の睡眠を経て、俺は再び天海を抱いた。
それは天海が無防備に寝返り打ったことから始まったのだが、意識が覚醒しきる前の天海は今までの情事の時とはまた別人のようだった。
すべてに対して従順で、俺の行為に震え、揺れ、悶え、欲し、求め、促し…煽った。
耳に心地良い甘い声音は、俺の名だけを連呼し。
適度に肉感的で官能的な身体は、仄かな桜色に染まりじっとりと汗ばみ。
――彼女のこと以外、何一つ考えず、いいや、彼女のことすらまともに考えもせず、ただただその身体に溺れるように激しく腰を打ち付け、なぶった。
その末に天海の中にありったけの熱量をぶちまけたのだが…疲れ果てた彼女の姿に、俺自身が驚きもしたが、俺は何一つ冷めきらず、逆に加虐的な想いすら生まれ――。
抜いてすぐに次の準備をし、結局、全身で呼吸をする天海を、また、抱いた。
3度目の後は、眠るというよりも気を失った天海に布団を掛け、俺は1人バスルームへ向かった。
激しい運動と汗。
その組み合わせには慣れているが、いつもよりも気怠さを覚え、しかし心地良さも感じるという、何とも表現しがたい感覚をシャワーで流す。
時刻は22時を回っていた。
身体が空腹を思い出し、俺はひとまず単身で隣の部屋へ行く。
抑え気味にノックをすると、しばらくして開錠の音。
中から顔を出したのは瀬見。
「…よぅ」
「あぁ」
挨拶と言えるのかどうかわからない言葉を交わし、2人して一旦口を噤んだ。
「中、入るか?」
「いや。…夕飯を食べ損ねた。1番近いコンビニを聞きに来た」
「ホテル出て道渡って右に行くとすぐだよー」
中から天童の声。
俺たちは顔を見合わせてから、部屋に入った。
俺と天海がいる部屋を左右対称にさせた作りのツインルームで、天童と大平はそれぞれベッドに座っていた。
少々の菓子類が広げられたその光景に、修学旅行を思い起こす。
ふと、開封のスナック菓子の横にあるDVDケースが目に付いた。
半裸の婦警。
「ここ、壁が薄くってさー」
こちらを見て笑みを浮かべた天童が言った。
「保険で持ってきて正解だったネ!」
俺は顔を上げて天童を凝視する。
「役に立って良かったな、天童」
たちまち真顔になった天童。
俺の後ろで瀬見が呟いた。
「今のは天童が悪い」