第18章 ★王者の休日(4)
自分でベッドに放り投げた、その袋の数は4。
握るように手に取り、数珠繋がりになっているうちの端の1つを口で開封し、身支度を整える。
“優しくしてね”
彼女の言葉に被さってくる1ヶ月前の記憶――。
甘くドロドロに溶けた熱。
すすり泣きよがる声。
汗と息。
貫くたびに響く水音。
眩暈と快感と。
――欲しい。
俺は天海の膝を抱え、そのまま腰をも持ち上げる要領で彼女の滑らかな白い脚を頭の方へと倒す。足の親指が、彼女の頭より上、枕の位置すら越えて壁に軽く当たった。
しなやかな身体が描く艶かしい流線。
薄暗くなってきた部屋の中、晒された秘所が妖しく濡れそぼっている。
喉を鳴らして、彼女の脛を押さえたまま、俺は唇をそこへ寄せて舌先を遊ばせた。
「ひ、ぁん…あ、あっ、ん…」
両手それぞれでシーツを目いっぱい掴み、天海が悶える。
イったばかりの身体は感じやすくなっているようで、鼻にかかった声は部屋中に響いた。
その聞き応えある声で鳴かせてから、俺は、彼女の脚を押さえ込んだまま蜜と唾液にまみれた処へ硬くなった己自身を押し込む。
「あっ…あっ、あっ、あぁっ!」
天海が大きく口を開けて声を上げた。
俺は大きく息を吐き、彼女が俺のものを飲み込んでいる様を見下ろす。
迎え入れられた場所は、記憶よりもぬめり、熱く、そして、きつく、俺自身を締め付けてきている。
残り半分、すべて沈めた時に押し寄せるものを想像するだけで身体が熱くなる。
天海が小さく呻いた。
「ぁんっ…わかとし、くん…」
呼ばれて天海へ視線を移した。
眉を寄せて苦しげな彼女は、顔だけではなく全身が少しほんのりとしたピンク色に染まっていた。
煽情的。
乗せられて熱く滾る。
天海は俺に絡みつき、動かずにいる俺を責めるように締め上げる。
俺は、彼女と同じように眉間に皺を寄せて、残り半分も沈めていく。
「あっ、は、入っ、んっ、あんっ…」
少し背を浮かせて小さく震える天海。
その目が、微睡むように俺を見つめた。
「…ね、もぅ…気持ち、いい…よ…」
「俺もだ」
返してから、気づいてこうも言う。
「お前が俺を根元まで飲み込んでいるのもよく見えるぞ。…ヒクついているな」
「…意地、悪っ…」
天海が俺を強く締めた。