• テキストサイズ

【HQ/R18】二月の恋のうた

第18章 ★王者の休日(4)


「あっ、はぁ、はぁ、めぇ、だ、めぇ…」

ぴちゃぴちゃと蜜の奏でる音、その合間に天海の荒い息づかいと懇願含みの喘ぎが混ざる。

「やぁ、わかと…あ、イ、イっちゃ…あ、あんっ」

天海の指が俺の髪をくしゃりと絡め取った。
その抵抗を無視して、溢れ出た愛液と俺の唾液で照り光る花蕾を責め立てた。

「わ、わか、あっ、イ、くっ、あぁっ!」

天海が仰け反り、高く鳴く。
否、身体が小刻みに何度か震えた。
俺は天海を、その背に回した手で支えた。彼女はソファの背もたれに肩から寄りかかり、俺の片腕にも支えられながら呼吸だけを繰り返す。

「ありさ」

呼びかける。
視線だけを上げて、天海が「ごめん」と、か細い声で謝ってきた。

「わ、たし…」

搾り出すようにして言葉を繋ぎ、細かく痙攣する膝を彼女は閉じる。
その寸前に、溢れ出た愛が秘裂まで伝い、彼女が腰かけている肘置きにも染みを作っているのが俺の目に留まった。

――俺の中で猛る気持ちに火がつく。

ぐったりとした身体を抱き上げ、窓側のベッドへ、セッティングされた布団をめくってから天海を横たえた。

「わかとし、くん…」
「お前のイク姿は俺を興奮させる」

言いながら、俺は自分のジャケットとシャツとを脱ぎ捨てた。
腕にはめた時計も外して放り投げる。絨毯の床が音を立てずに受け止めた。

次いで、ズボンの後ろのポケットから財布を出し、天童に言われてそこにしまっていた袋を取り出した。
袋はベッドの上へ。財布は腕時計と同じ方向へやはり投げ捨てる。
扱いがぞんざいな自覚はあるが、逸る気持ちがそうさせる。

カチャカチャとベルトを外していると、天海がうつ伏せになり、上品な猫のように少し身体を丸めた姿勢を取り、自ら髪を解いた。
艶やかな漆黒の髪が、白い背を覆い、肩からシーツへと滑り落ちていく。

絵画のような美しさに、匂い立つような色香。

晒した俺自身が誘われるように疼き、硬さを増す。
ベッドにのぼり跨って、耳元へ囁いた。

「ありさ…俺で感じているお前が見たい」

半身を捻ってこちらを仰ぐ彼女の掠れ声による返答。

「…今日は…優しくしてね…」
「約束できない」
「正直なんだから…」

まだ熱を内に秘めた瞳が気怠げに微笑む。
ためらわずキスをした。
/ 230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp