第18章 ★王者の休日(4)
溢れる愛蜜を啜り上げた。
「あっ、やっ、あぁっ!」
天海が素直に応える。
綺麗な色をした天海の花唇は、この短い間にも、じんわりと匂い立つような涙をこぼす。
――熱い。
飢えた身体がさらにそれを欲する。
舐めとろうとした刹那に、部屋の外から扉が閉じる派手な音が聞こえた。
「おいっ、天童、もっと…」
「こっちの方が親切」
見知った声と会話。
「あー、お腹減ったから、若利くんたち置いてっちゃおー」
ひどい棒読みの台詞が廊下から聞こえ、賑やかな足音が部屋から遠のいて行く。
俺は顔を上げて天海を見やった。
天海は顔を真っ赤にし、目を固く閉じていた。
俺は、その頬を撫で、話しかける。
「聞こえていたか」
「…聞こえてました…」
「声を抑える必要はなさそうだぞ、天海」
「…っ…」
「俺は、お前が声を我慢している姿に少なからず興奮したが、やはりお前の感じている声によりそそられると思ってきたところだ」
「…若利くんの…ばか…」
常ならば許容できそうもない罵倒も、彼女の唇が紡ぐとこの上もなく甘い。
俺は小さな「ばか」を流して、天海の花唇をしっかりと口に含めた。
「ひぁっ!」
短い叫び。
口腔内で舌を蠢し、乱暴に蜜を舐めとる。
「あっ、あっ、あっ、や、あっ!」
肩に乗せた天海の脚がガクガク震える。
構うことなく啜る。
「あっ、か、感じ、あっ、あん!」
舐めとった蜜を嚥下した。
身体の熱は収まらない。いや、増している。
回した腕で腰をしっかり固定させて、むしゃぶりついてみせる。
「あっ、わか、だめぇ、そ、そん、なっ、あっ!」
天海が、両足の爪の先まで伸ばしてビクビクと震える。
…感じている。
もっと見たくて、俺は天海の花芽までもついばんで舌で蹂躙する。
「あっ、だめっ、だめぇ!」
舌で硬い天海をあたかもほぐすようになぶると、鳴き声に俺自身が昂ぶる。
天海。
俺の、ありさ。
打ちひしがれ、地にひれ伏した。けれども、顔を上げ、立ち上がり、俺へと向かってきた。
自らの力で。
(弱くなどない)
お前は強い。
自分の弱さを受け入れられるほどに、強い。
「あぁ、あぁんっ!」
惹かれたのは必然。
嬌声の中、胸の内で呟く。