第18章 ★王者の休日(4)
探り当てたファスナーを下げると、彼女の下半身を覆うそれは重力に逆らわずに足元へと落ちる。
胸の谷間近くに数個の赤い花を散らされた天海が軽くよろめいた。
俺は身体を離し、室内を見渡す――目と鼻の先にある1人用のソファが目に付いた。
そこへ天海を導き、肘置きに座らせる。
右手を口元へ、左手は胸元へ運んだ彼女が肩を上下させながら俺を仰ぎ見た。
「若利、くん…」
溶けた瞳は、けれども真っ直ぐに。
俺が魅せられた眼差し。
一直線に、俺を射る。
…誰が弱い?
俺は天海の手を口元から外し、唇を掬うように口付けた。
そして、彼女が否定した言葉をもう1度。
「天海…お前は強い女だ」
「…慰めてくれるの」
今度は否定ではなく躱す天海。
「慰めなどしない」
胸を覆う手もゆっくり引き剥がす。
緩やかな膨らみの白さに改めて目を奪われる――ここにも俺の痕を残したい。
「…強くなんて…んっ…ないの…」
腰に手を回し、肘置きから落ちないように支えてから強く肌を吸う。
「…ぁ…」
天海が、咄嗟にソファの背もたれを掴んだ。
「…若利くん…」
「お前ほどの強い女を俺は見たことがない」
派手に咲かせた花を確認してから、俺は絨毯に付いていない彼女の脚を、膝を抱えて内腿にも同様のことを為す。
「…あ、だめっ…」
「すべてに俺の証を残すと言ったはずだ」
「あぁっ…」
「初めて会った時から…お前は俺を真っ直ぐ見てきた。1人で。真正面から射抜くように」
「ん、ぁ…」
「あんな風に俺に挑んできた女は未だかつていないぞ」
柔らかい肌は微かに汗ばんでいる。
吸い付いて、今の彼女の唯一の衣服に触れ、脱がそうとした瞬間…俺は驚き、笑みをこぼした。
「…解くぞ、天海」
最後の砦のように彼女の秘部を覆うもの、それの紐を一思いに引っ張り解く。
天童が置いていった本を思い出していた。
「俺のために用意した“勝負服”というやつか」
「…そういう、こと…は、ぁ…言わない、のっ」
嗜める口調が俺の言を暗に肯定する。
俺は残りの紐を、先ほどとは真逆に、ゆっくりと解いた。
「これは、抱いて欲しいという合図だと読んだが…」
「…ばか」
言葉ほど強くない非難に俺はもう1度笑う。
その弾んだ息で、彼女の秘所にキスをした。