第9章 家光様の帰城ー三日目・夏津ー
はぁはぁと息をしながらぐったりしていると夏津が言った。
「もう一度、そこに座っていただけますか?」
「やだ……。」
「動けないなら、俺が座らせる。」
夏津は私を抱えると、壁を背にしてもう一度私を座らせた。
「な、なにするの?」
「湯殿係として、上様を綺麗にして差し上げるだけですよ。」
夏津は私の前に座って再び糠袋を手に取ると、ゆっくり身体に滑らせていく。
まだ少し火照った身体は、柔らかな刺激にも過敏になってしまう。
「はぁ……。」
鎖骨や二の腕を優しく擦られ思わずため息をもらすと、夏津が視線を上げる。
「気持ちいいですか?」
イかされた余韻が残ったままの私はなんとなく頷いた。
「やっぱり上様は、いやらしいですね……。
拭いているだけなのに、そんなに上気させて。」
「そんなことっ……。」
夏津の手は身体の側面を通り脚へ向かった。
片脚ずつ膝に乗せ、つま先まで綺麗に拭ってくれる。
太ももの内側もすーっと滑っていき、中心が疼きだすけれど、今度はそこは触らない。
焦らされているようで、もどかしい気持ちになる。
私、嫌だったはずなのに……。
脚が終わると、胸の下からおへそ、下腹部へと夏津の手は動いていく。
遠回りに快感を誘い出されている感覚に、中心の熱が上がりだす。
「上様、気づいてますか?」
夏津はまだ私のことを上様と呼ぶのをやめない。
「脚が少しずつ、開いてきていますが……。」