第28章 99+2 ー王宮アランー
扉を開けてくれたアランに促されて部屋に入ると、ミルクが目にしたのは綺麗なバラの花束だった。
「これ……、アランが?」
「ちょっと早いけど、もうすぐ出会って5年だろ。」
「こんなに沢山!素敵!ありがとう。」
ミルクは花束を愛おしそうに抱きしめた。
「バラの花束には本数に意味があるらしいんだけど。」
「え、なになに?!」
「101本で『これ以上ないほど愛してる』」
穏やかに優しい笑みでそう告げられ、ミルクは一瞬言葉に詰まる。
「……っ、この花束は101本ってこと?」
「いや、99本。」
アランはそっと、ミルクの耳に触れた。
「あと2つはもうやっただろ?だから、それで101本。
今朝、これつけてるの見て、すげえ嬉しかった。」
「だって、大切な思い出のピアスだから。」
アランの手がミルクの目尻を拭う。
「ほんとおまえ、泣き虫なの変わんないな。」
「アランがいじわるなのも変わんない。」
お互いの言葉に笑ったあと、しんとした部屋に柔らかな声が響く。
「愛してるよりも、もっと。
言葉だけじゃ伝えきれないから、この花束と…… 」
軽く唇が触れた。
「こうやって、俺の気持ち伝えてやるよ。」
再び唇が重なると腰に回った手で引き寄せられ、優しく舌が絡み合う。