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【イケシリ】sweet dreams【短編集】

第8章 家光様の帰城ー二日目・九条ー


「九条とくっついてると、安心して眠くなってきたよ。
ほんとにこのまま少し寝ちゃってもいい?」

返事がない。
顔が見えないけど、もしや先に寝ちゃった?

「九条?」

「やっぱり駄目。」

私を包む手がぎゅっと強くなる。

「一緒に昼寝とか無理だった。
目、覚めた。」

「え、じゃあ……。」

起き上がろうとしたけれど、九条が離してくれない。

「意味わかってるー?」

九条は私の手を握ると、下へ導いた。

嘘……。

たどり着いた先で、固くなったものが手に触れた。

「我慢してたんだけどなー。
紗代、柔らかくて気持ちいいし、いい匂いするからさー。」

ふいに名前を呼ばれて鼓動が跳ねる。

九条は私の手首を握ったまま、ゆっくり上下に動かし始めた。

やだ、どうしよう。

「さっきの質問に答えてもらってないような気がする。」

さっきの質問てなんだろう?
それよりも、手が気になって会話に身が入らない。

「鷹司のことはいいの?ってやつ。」

それか……。

「よくないよ。
よくないけど、私にはどうしようもないことだよ。」

「諦めたの?」

「……最初から望んでないよ。
叶わない恋ってわかってたから。」

ほんとにそう?
言葉を紡ぎながら、そう言い聞かせてるだけかもしれない。

「ふーん。
それなら、一個だけお願いしてもいいー?」


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