第3章 シド←→ジャス
「王宮の生活はどうですか?
慣れないことばかりで、お疲れではないですか?」
「うん。ほんとマナーとか立ち居振る舞いとか、未知の世界すぎてねー。
こういう環境で育ってないからどうしても付け焼き刃になっちゃうけど、それでも頑張らなきゃって思うし。」
シドにはこんなに素直に気持ちを話せないけど、ジャスの優しい雰囲気に心を許してしまう。
「辛くはないですか?」
「みんなが支えてくれるから大丈夫だよ。
根気よくレッスンにもつきあってくれるし。
シドもね。すごく感謝してるんだ。」
本人にはなかなかこんな風には言えない。
もちろん、感謝以上の気持ちを抱いていることも。
「それはよかった。
シドが心配していたんですよ。」
「え?」
「最近あいつなんか変だっ、て。」
シドのこと意識するようになってから、妙に緊張しちゃって態度に出てたのかな……。
ジルにもボーっとしすぎって怒られたばかりだし。
というか、
「シド、ジャスにそんな話するの?」
そっちも気になる。
「ええ。帰ってくると独り言も言ってますけど、1日の出来事を色々話しかけてくれます。
今日もじゃじゃ馬がうるさかったとか、じゃじゃ馬がじゃじゃ馬だった、とか……」
「なにそれ!」
「ふふ、冗談ですよ。
でもプリンセスの話はよく聞きますけどね。」
そうなんだ……。
嬉しいような恥ずかしいようななんとも言えない気持ち。