第3章 シド←→ジャス
「なにか悩みごとはありませんか?」
うっ……あるにはあるけど。
中身はジャスとはいえ見た目はシドだし、シドを好きになっちゃったことを相談するのもなんだか恥ずかしい。
シドがいつ目を覚まさないとも限らない。
ミルクが黙っていると、
「もしかして、誰か気になる男性ができましたか?」
と、ジャスが畳み掛けてきた。
「えっ、う、うん、実は。」
名前を出さずに話せばいいかな。
誰にも相談できなかったし、いい機会かも。
「正直今まで好きになったことがないタイプの人で、自分でもどうしたらいいかわからないの。」
「意外な人を好きになると戸惑うものですか?」
「相手の反応もどう受け取っていいかわからないし、自分もなんでこんな人に惹かれちゃうんだろうって思うこともあるし。
人の気持ちって難しいね。」
「そうですね。
でも、恋すると女性は綺麗になるっていいますし、プリンセスもこれからますます綺麗になるんでしょうね。
お相手が羨ましいです。
どんな方ですか?」
「ジャス、お上手ねー。
相手が私のことどう思ってるかは全然わからないよ。
名前だって、ついこの前教えてもらえたばかりだよ。
けっこう謎が多い感じなんだー。」
あれ?ジャス、なんか微妙な反応。
「私なにか変なこと言った?」
「いえ、続けてください。」
笑顔で続きを促す。
気のせいかな。
「なんだかんだ優しくしてくれるのわかるんだ。
そういう時にちょっとときめいちゃう。
あ、でも普段は凄く口悪いんだよ!
私のことじゃじゃ馬って言うし!!」
そこまで言ってハッとする。
ジャスもちょっと驚いた顔で固まった。
し ま っ た !