第28章 99+2 ー王宮アランー
「お、やっと来たか。」
ジルに言われた部屋へ向かうと、背の高いすらりとした男性が待っていた。
初めて会うはずなのに、男性は初めてではないかのような態度にアランとミルクはたじろいだ。
「やっぱり伝統的な騎士服ってのはかっこいいな。
あとで良く見せて欲しいんだが、いいか?」
アランの着ている服に興味津々の彼は、自分のペースで話しを続ける。
「おい、まずは名乗るのが礼儀だろ。」
「これは失礼。俺はクロード=ブラック。王宮専属スタイリストだ。
と、言ってもここのじゃない。いつもはもう一つの王宮で仕事をしてる。」
「ああ……、なんかあったなそういうの……。」
「これ読んでるお姫様たちには意味がわかってるだろうし、細かい説明はいいだろ?
早速採寸からさせてもらう。
お姫様はその間、そこのデザイン画や布見本を見てどんなのがいいかイメージしててくれ。」
クロードはテキパキと仕切り始め、仕事を進めた。
(やっぱりアランには赤が似合うと思うから、赤はどこかに入れて欲しいなぁ。
あ、これかっこいい、でもこっちも似合いそう!……うーん、アランかっこいいから何着ても……)
資料を見ながらそう考えたミルクは、ふと顔を上げてアランを見る。
すると上半身裸で採寸されているアランと目が合った。
びっくりしたミルクは火照る顔を伏せ、再び資料に向き合う。
「おい、なんで赤くなってんだよ。」
「なってません!」
「よし、これで終わりだ。
いちゃつくのは2人になってから、な?」