第28章 99+2 ー王宮アランー
「アラン、おはよう。
今日の予定、少し変更になったんだって。」
いつものように執務室に向かうと、先に着いていたミルクがそう告げた。
ジルの方を見ると、少し大きめの封筒を差し出される。
「なにこれ?俺に?」
「少し前に行われた、総選挙のアフターパーティーだそうですよ。
全員参加の大規模なものになるそうですが、アラン殿は上位に入りましたから、入場時にレッドカーペットを歩くことになりました。」
「はぁ?」
思った通りの反応に、ミルクは眉を下げる。
「アランそういうのあんまり好きじゃないよね……。」
「今更アフターパーティー?
結果発表で充分なんだけど。」
「でも!私はアランが8位になってくれてすごく嬉しかったし、その……アランが行くってことは私も隣を歩けるから。
すぐ側で大好きな人の晴れ姿を見たいな、ダメ?」
ミルクがそう言いながら恐る恐る覗き込むと、アランはふいっと顔を背けた。
「顔出したらすぐ帰るからな。」
だいたい予想していた通りの展開に、笑みを噛み殺しながらジルが続ける。
「では、当日の衣装を新しく用意します。
今回は少し特別な人を呼んでいるので、いつも衣装合わせをしている部屋へ移動していただいてよろしいでしょうか。」
嬉しそうなミルクと、足取りの重そうなアランは連れ立って執務室を出て行った。
「やはり私からでなく、プリンセスから出席を促してもらって正解でしたね。」