第26章 隣にいるだけで ー王宮アランー
城に戻ってきた2人はやがて、お互いの部屋への分かれ道に差し掛かって立ち止まる。
「俺の部屋、来るだろ?」
「うん……、でもこれ片付けないといけないから後から行くね。」
バスケットを持ち上げて見せると、アランが眉をよせた。
「ダメ。」
「え、わっ!」
アランはミルクの腕を強く掴むと強引に歩き出す。
「なんで?ちょっと待って……!」
黙ったままのアランに引っ張られながら、部屋までたどり着いた。
「なんでって、言わなきゃわかんない?」
「う……ん。」
「久しぶりの休みで気ぃ抜いてたら、俺に会いたくて仕事頑張って終わらせて来てくれた恋人がいて?しかも、こんな可愛い服着て?」
アランが一歩前へ進み、ミルクの頬にかかる髪を耳にかける。
「あんな嬉しそうな顔でおはようって言ってくれて、手繋いだだけで子どもみたいにはしゃいで……。
キスだけで我慢できると思うわけ?」
「そんなの……わかんないよ。」
「なら教えてやるから目閉じて。」
目を閉じた後の展開はなんとなくわかるだけに、恥ずかしさと期待が入り混じった気持ちでミルクは目を閉じた。
(キスされる……かな?)
そう考えていたのに、ミルクを抱き寄せたアランの手はワンピースの裾を持ち上げる。
「え、ちょっと…… 」
「さっきの続き。」
そう言って這い上ってくる手の感触に、ミルクは思わず内股に脚を閉じた。
「脚閉じるなよ。」
「だって……!」
両脚の間に手が差し込まれようとすると、ミルクはさらに身体を固くする。
「なんでそんなにガチガチなの。」
「久しぶりだから、緊張してる……。」
「ほら、力抜いて。」
その言葉と同時に、唇が重なった。
少しずつ深くなっていくと、ミルクの身体から次第に力が抜けていく。
それに気づいたアランの手は背中のファスナーに伸び、ワンピースがするりと落とされた。
「……。」
そこで動きが止まった。
「あ、アラン……あの、今日のは…… 前にあるの。」