第25章 消さないでー佐助ー
「どうだった?」
そんなこと聞かれても……。
すごくドキドキしてるけど。
「これが、検証なの?」
「キスをすると、脳が相手の唾液から情報をキャッチするんだ。
気持ちいいって感じたなら、それは本能的に相手を気に入った証拠になる。」
「そ、そうなんだ……。」
なんでこんなにいつも通りなの。
佐助くんはどうだった?なんて私は聞けないよ。
「1回じゃ、検証結果としては弱い。もう1回…… 」
握ったままの私の手首を壁に押し付けると、もう一度唇が寄せられる。
「っ……ん 」
気持ちがよくて、お腹の奥がきゅんとして、力が抜けていく。
どうしよう。
「紗代さん……、俺はすごく気持ちよかった。」
佐助くんは身体を離してそれだけ言うと、そろそろ出よう、と私を隠し部屋から外へ出してくれた。
手、繋いだままだ。
「ごめん、俺もなんで突然こんなことしたのかわからない。
ゆっくり考えてみるよ。」
「あ、うん、私も……。」
「それにしても……紗代さんに指摘された匂い消さないと。
忍び仲間にも言われたことなかったから油断してた。」
「待って、私その匂い好きだから消さないで欲しい……な。」
「え。」
「あ、ごめん、私何言ってるんだろ。」
「いや。多分さっきの距離じゃないとわからないくらいのものなんだろうし、紗代さんがそういうなら他の誰かに言われるまで気にしないことにする。
でもいまのセリフは……。」
そこで言葉が途切れた。