第25章 消さないでー佐助ー
突然なんの話だろうと思っていると、佐助くんが続ける。
「そして人は種の多様性を高めて生存率をあげるために、本能的に自分と遺伝子が遠い人を好きになるらしい。」
ん?
難しげな話に一瞬理解が追いつかない。
んんん?
つまり、私が佐助くんのこと好きだって言いたいの?
「佐助くん?!」
「俺と紗代さんは、すごく相性がいいってことなのかな。」
たしかに、佐助くんといると居心地がいいし頼りになるし、私のことすごく大事にしてくれるし、今まで一度もときめかなかったことがないと言ったら嘘になる、けど。
恋愛感情かといったら、それはまだわからない……。
「相性の良さを確かめる方法がもう一つある。
検証してみたいんだけど、いい?」
方法って?
と、聞き返そうとした時には唇が重なっていた。
「んんっ。」
驚いて胸を押し返そうとしても、もともととても狭い場所であまり意味がない。
佐助くんはその私の手首を掴むと、さらに深く押し入ってきた。
「っは…… 」
とても長く感じたキスから解放されて、熱い吐息が漏れる。