第25章 消さないでー佐助ー
足音が近づいてきた。
「佐助?やっぱりいるのか?」
そう声が掛かって襖が開く。
佐助くんは、私と繋いだ手を後ろに隠した。
え、このまま?
「やっと見つけた。どこ行ってたんだよ。
謙信様が鍛錬に付き合えって探してたぞ。」
「今日は休んでていいって言ってたのに。
まぁ、俺もちょっと頭冷やしたいしちょうどいいか。
……紗代さん、じゃまた。」
佐助くんは幸村にわからないように握った手に一度力を入れると、そっと離した。
「うん、私これ片付けておくね。」
「幸村も行くんだろ?」
「は?俺は嫌だよ。」
「強制連行。」
2人は肩を並べて行ってしまった。
なんだったんだろう……。
この気持ちに結論を出すには、まだまだ検証が必要そうだな。
と、佐助くんみたいなことを考えながら私も部屋を後にした。
2017.02.26up