第23章 クリスマスリレー小説ー夏津ー(未完)
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西日の差し込む部屋で一人、きらきらと光る帯留めを手に取る。
(綺麗……。
でも、これ誰が……やっぱり夏津、かな )
「夜の総触れのお時間でございます。」
稲葉が呼びに来た。
「稲葉、その前にお願いがあるんだけどいい?」
…………
「上様の御成ーりー。」
ミルクは御鈴廊下を歩いていき、夏津の前で足を止めた。
「夏津。」
突然の出来事に、どよめきか起きる。
「礼を言う。」
顔を上げた夏津は、ミルクの帯締めに翡翠が光っているのに気づいた。
色々言いたい気持ちを飲み込んでいるうちに、ミルクは奥へと進んでいってしまった。
(あいつ……。)
…………
「入るぞ。」
勢いよく襖が開けられて入ってきたのは夏津だ。
「おまえ、なんであんなことした。
どういうことかわかってんのか?」
一息吸って、ミルクも言い返す。
「わかってる。わかってるからあそこで話しかけたんだよ。
夏津は私の大切な人だから。
それをもう誰に知ってもらってもかまわない。
ちゃんと向き合って話したかったし、謝りたかった。
……あと、これありがとう。夏津、だよね?」
「ああ。」
ミルクは続けた。
「話したくないことがあるならそれでもいい。
無理に聞こうとして私も悪かったと思ってる。
でも、忙しくなる前に夏津と一緒に過ごす時間を少しでも作りたかったの。
ただそれだけ。
だから、それはわかって欲しいの。」
黙って聞いていた夏津がふいに口を開く。
「似合ってる。」
「え?」
その手は、翡翠の帯留めを触った。
そして帯締めをなぞるように指をすべらせると、ミルクの腰を引き寄せる。
夏津はそのままミルクに口づけた。
「んっ……!」
ミルクは慌てて胸を押し返す。
「なんだよ……。
あとでちゃんと話してやるから、先に抱かせろ。」
「やっ、待っ…… !」