第23章 クリスマスリレー小説ー夏津ー(未完)
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(あんな言い方しなくたって……
夏津がお祭りとか行事が好きじゃないのも知ってるけど。)
年の瀬の慌ただしい時だからこそ二人きりで過ごす時間を作りたい、素直にそう言えればよかったのだが、思いがけず突き放されてミルクはそれ以上話しが続けられなかった。
肩を落として葵の間へと戻る廊下を歩いていると、目の前を白く細長いものが横切った。
(あれは、煌月様のおこじょ!)
咄嗟に追いかけて角をまがると、廊下の真ん中でおこじょのモモがこちらを見ていた。
「どうしたの?煌月様とはぐれちゃったの?」
しゃがんで問いかけると、モモはゆっくりとミルクの方へ来て手に体をすり寄せた。
「ふふ。可愛いねぇ。
煌月様、探しているんじゃない?
連れて行ってあげるよ。」
ミルクはモモを抱きかかえると、煌月の部屋へ進路変更した。
「煌月様、いらっしゃいますか?」
返事がしたあと、スッと襖が開いた。
煌月はミルクの胸に抱かれたモモを見ると、ミルクの腕を掴んで言った。
「探していたんですよ。
もう逃がしません。
さあ、早く入って下さい。」
「あ、ちょっと……!」
煌月様に部屋へ引っ張りこまれるミルクの後ろ姿を、廊下の向こうから夏津が見ていた。
「あいつ、なにやってんだ。」