第22章 クリスマスリレー小説 ーアランー
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翌日。
(雪は降らなさそうだな……。)
綺麗な赤の包装紙と金のリボンでラッピングしたケーキを持ってアランの部屋へ向かう。
コンコンコン。
「どうぞ。」
「アラン、メリークリスマス!
って、なにこれ?!」
いつも殺風景な部屋が飾り付けられ、クリスマスツリーまで置かれている。
そして何より、2人掛けのテーブルが持ち込まれていて、その上にはご馳走が並んでいた。
「クリスマスプレゼント。」
「これ、もしかしてアランが作ったの?」
「まぁな。おまえがケーキ作るってわかったからあの後急遽。」
(急遽ってレベルじゃない……。)
「私なんて、あのケーキ1つ作るのもアランに手伝ってもらったのに。」
ミルクが肩を落とす。
「2人でいるんだから、なんだって得意な方が得意なことすればいいだけだろ?
おまえだって俺より得意なこと沢山あるはずだし。」
「例えば?」
「それは、今ちょっと思いつかねぇけど。」
「なにそれ酷い!」
笑いながら冗談を言い合っていると、アランが歩み寄る。
「これ、もらっとく。
最後に食べるか。」
ケーキをミルクの手から受け取ると、椅子をひいて座らせた。
シャンパンで乾杯して、アランの手料理に舌鼓を打つ。
「これで、雪が降ってくれたら最高だったのになぁ……。」
ミルクがぽつりと呟いた。
「なんで?」
「え、あ、だってロマンチックでしょ?
ホワイトクリスマスなんて。」
「あぁ、まぁ、そうだな。」
(アラン、言い伝えのことやっぱり知らないのかな。)
そのことを聞けないまま違う話題になり、やがてテーブルの上の料理もすべてなくなった。