第22章 クリスマスリレー小説 ーアランー
「じゃぁ、あのケーキ食うか。」
「あ、私が切り分けるね!」
そう言って立ち上がる。
何があるわけでもないのに、ミルクは少しだけ緊張していた。
(雪も降らなかったし、別に食べさせ合わなくてもいいかな……。
ふつうにプレゼントってことで。)
そう思いながらお皿をテーブルに並べる。
「はい、どうぞ。」
ミルクも席に戻り、フォークを手に取った。
一口食べようとしたところで、アランが黙って見ているのに気づく。
「食わせてくれないわけ?」
「え。」
ミルクの顔が一気に熱くなる。
「うそ、知ってたの?」
「この国で育ってんのに、知らないわけないだろ。
そのためにケーキ焼いたんじゃねぇの?」
「うん、そうだけど。
でも雪降らなかったし、条件がそろわなかったなって思って……。」
「ホワイトクリスマスにケーキ食べさせ合いたかった?」
「うん。」
ミルクは素直にそう答えた。
「なら、今年は練習ってことでいいだろ。
ホワイトクリスマスにケーキが食べられる時まで、何年でも練習に付き合ってやるよ。」
言葉の中に含まれる意味に気づいて嬉しくなる。
ミルクは照れ隠しで言い返した。
「じゃぁ、クリスマスに雪が降ったらその年で終わり?」
「バーカ、そん時は言い伝え通りになるんだろ。」
「……アラン、大好き!」
「ん、いいから早く食わせろって。」
お互いに一口ずつ食べさせ合って、幸せなクリスマスの夜は更けていった。
end