第22章 クリスマスリレー小説 ーアランー
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「実はアランにプレゼントしようと思って、ケーキを焼こうかと。」
少し言い淀んだミルクの様子に、アランが気づく。
「あぁ……、悪かったな。
ほんとは内緒で作ろうとしてたんだろ。」
「ううん、私1人じゃどのみち調理器具探すだけで時間終わっちゃいそうだったし。
一緒に作るのも楽しいかも。」
アランは紙袋を覗いて言った。
「これ材料か?」
ミルクが頷くと、中身をテーブルの上に並べ始める。
「おまえさ、作ろうとしてるのって…… 」
ブランデーの瓶を手にしてミルクを見る。
「ブランデーケーキだよ。
前に好きって言ってたでしょ?」
「よく覚えてたな……。」
アランは嬉しそうに目を細めた。
「ふふ。アランのことなら、どんなことでも覚えてるよ。
あ、でもドライフルーツが売り切れてて買えなかったの。」
「ちょっと待ってろ。」
「え?」
アランは唐突にキッチンを出て行った。
(どうしたんだろう?
とりあえず、計量だけ始めながら待ってようかな。)
ユーリにもらったレシピを見ながら、小麦粉や砂糖を量っていく。
全部終わったところで、ちょうどアランが戻ってきた。