第22章 クリスマスリレー小説 ーアランー
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「よし!」
城のキッチンにて気合いを入れてみる。
久しぶりのエプロンのつけ心地に身が締まるような気さえした。
(お料理するなんて城に来て初めてだし…それに好きな人のためってなると緊張する)
ユーリに手配してもらった誰もいない、広過ぎるキッチン。
しかし城全体のために機能している場所であるため、いくら「プリンセス」のためとは言え、あくまでプライベート。
「貸し切り」には時間が限られている。
(手際よく!失敗しないようにしなくちゃ!)
ふんっと息を吐き、すでに捲っている袖に手をかけ二度目の腕まくりをした。
(……とは言え……)
調理器具の場所さえ、わからない。
バタン!
ガシャ!
あちらこちらの棚や引き出しを開けて歩く。
(……時間……ないのに……)
ミルクは、涙が滲みそうなのをくうっと堪えた。
「おい、なにやってんだよ?」
眉を寄せて泣きそうな顔のまま、後ろを振り向くとアランの姿が。
「あ……えっと、探し物……。ボールとか、計量カップとか……」
「手伝ってやるよ」
そう言って高い位置から道具を揃えていく。
あっと言う間に道具一式が調理台にズラリと並んだ。
「で?何作るんだ?せっかくだから一緒にやってやるよ。ついでに味見役もな」
アランは朗らかに笑いながら上着を脱いだ。