第22章 クリスマスリレー小説 ーアランー
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「はい、ミルク様」
ユーリは型紙のファイルに挟んだ紙の束を手渡した。
中を開いてみると……
「わあ」
可愛らしいイラスト付きの…ケーキのレシピの数々。
「相談した城のパティシエが、すごく熱心な人でね。いくつか種類あげてくれたみたい」
あ、もちろん、相手がプリンセスってことは伏せてあるから、と付け足した。
「ユーリ……ありがとう」
レシピに綴られた甘い雰囲気が、イブへの想いを高めてくれるような気分になる。
「ううん、ミルク様の頼みだもの」
ワンピースにブラシをかけながら微笑んだ。
そして、ベッドに腰をかけレシピに夢中になるミルクにそっと近付く。
「ご褒美がほしーな」
「え?」
ユーリの甘い香りが鼻腔をくすぐる。
思いのほか近くにあったユーリの唇に、胸がどきりとした。
「もう、ユーリったら」
肩を軽く押す。
「えー、頑張ったのにー」
イタズラに失敗した子どものように頬を膨らませた。
「ホント、アラン様が羨ましいや」
ユーリは大袈裟に肩を落とす。
「俺にもサンタさん、来ないかなあ」
「ユーリ……」
「なんてね」
ユーリは小さく舌を出して、安心させるかのように小さく笑った。
「その沢山のレシピの中から、アラン様が大好きなのを選んであげてね。二人のイブが素敵なものになりますように」
そう言うと、月が浮かぶ窓の外に目をやった。