第22章 クリスマスリレー小説 ーアランー
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「おまえな。誰かに見られるだろ。」
絡めた腕をやんわりと解かれる。
「ケチ。」
「おーおー、ケチで結構。」
「嬉しかったんだもん。」
ミルクは膨れてみせた。
「イブまでいい子にしてろ。」
「そしたらご褒美ある?」
「さあ?」
アランは目を細めて笑った。
「なんか欲しいもんあるか?」
「え、うーん。」
(あげるもののことは考えてたけど、欲しいものは考えてなかった。)
「アランと過ごす時間が欲しかったから、」
ミルクも頬を緩めて言った。
「それが叶うなら、他に欲しいもの思いつかない。」
「ふーん。
……で、俺に同じ質問してくれないわけ?」
ミルクはハッとする。
(もうケーキ焼くって決めちゃってたから……!
内緒にしときたいから聞き返さないとおかしいよね。)
「あっ、アランはな、何かある?欲しいもの。」
「……。」
アランは答えずにミルクの顔を覗き込んだ。
「おまえ、なに慌ててんの?
その顔はもうなんか考えてんだろ。」
(相変わらず鋭い……。)
「それは、どう、かな?」
動揺を隠せず、曖昧に答えてみても意味がない。
「へぇ。
期待してる。」
アランはミルクの頭をポンとなでると、訓練があるからじゃあな、と違う方向へ歩きだした。
(あんまり期待しないでー。
まだどんなケーキにするかも決まってないのに……!
当日までに練習しなくちゃな。)
焦る気持ちを胸にミルクも公務に戻った。