第22章 クリスマスリレー小説 ーアランー
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「え?ケーキのレシピ?」
ユーリは紅茶を淹れながら、目をパチクリとさせる。
「うん、今までクッキーとかしか作ったことなくて。
図書館で調べたけど、どれも高度過ぎて……。」
「もしかして、クリスマスのため?」
「え?」
ミルクは頬を赤らめた。
「アラン様は幸せだね。
ちょっと妬けちゃうな」
心なしか、口を尖らせた。
「えっと、あ……うーん、そのっ」
「否定しないの?」
ユーリはイタズラっぽく、顔を覗き込む。
顔が近くミルクは、すっと息を止めた。
「ユ、ユーリ?」
「じゃあ、俺にも作ってくれる?」
二人の間に、少しの間沈黙が流れた。
「うそうそ。からかってごめんね。」
ユーリは、ふふっと笑みをこぼす。
「もうっ。」
「でも妬いちゃうのはホント。」
紅茶のカップがカチャリと鳴る。
「レシピは城のパティシエに聞いとくね。」
ユーリは笑顔のまま、そう答えた。
「ねえ!アラン!」
廊下で姿を見かけたミルクは嬉しそうに駆け寄る。
「よお。」
にこやかにアランは微笑んだ。
「あのね、イブなんだけど、」
「空けとけよ?」
自身の台詞を先越され、ミルクは赤面しながら「うんっ」と腕を絡ませた。