第21章 過ぎ去りし時 ー秀吉ー
ちゅ、と触れるだけのキスをして離れようとする秀吉さんの首に手をまわして、もう一度唇を触れさせる。
秀吉さんは少し驚いたような反応をしたけれど、私が薄く口を開けるとするりと舌が入ってきて口づけは深く変わっていった。
「ん…… 」
ちゅ…… ちゅっ …… ちゅ……
水音を響かせてしばらくそうした後、銀糸をひいて唇が離れた。
身体の芯が熱くなる。
きっと、同じだと思いたい……。
「秀吉さ…… 」
「ほら、約束したんだからちゃんと帰る。
俺も明日朝早いんだ。」
秀吉さんはそう言って帰るように促すと、背中を押した。
「ちゃんと温かくして寝るんだぞ。
おやすみ。」
私を部屋から押し出すと、頭を撫でながら優しくそう言って襖をピシャリと閉めた。
あーあ、失敗か……。
夜に二人きりで、ちょっと濃厚なキスしたらスイッチ入ると思ったのにな。
なんでだろう。
秀吉さんはキス以上のことをしてこない。
私はそろそろ、次に進んでもいいと思っているのだけれど。
色気が足りないのかなぁ。
はぁ……落ち込む。