第19章 勘違い ー光秀ー
「貴様、機嫌が悪いな。」
「わかります?」
「負けるとわかっている勝負に挑んでくるのだから相当だ。」
「今日は思いっきり飲みたい気分なんです。」
私はそうして信長様としばらく飲み続けた。
ほんとにけっこう強いんだから。
まだまだイケる!
そう思ってもう一杯、お酒を注ごうとしたとき、
「紗代、なにか踏んでいる。
一度立ち上がってみろ。」
気がついたら光秀さんが側に来ていて私にそう言った。
「え?なんだろ。
……っ?!」
やだ、まっすぐ立てない。
思わず光秀さんの腕に掴まってしまった。
「そこまでのようだな。」
あ、何か踏んでるって……、もしかしてそろそろ止めた方がいいって気づいてくれたのかな。
少しだけ浮かんだ淡い期待は、続く言葉にかき消された。
「秀吉にでも部屋に送ってもらえ。」
やっぱりそうなるんだ……。
もういいよ!!
フラフラの足取りで秀吉さんのところに戻ると、袖を引っ張った。
「秀吉さん、一人で歩けないので部屋まで送ってください!」