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【イケシリ】sweet dreams【短編集】

第19章 勘違い ー光秀ー


「それにしては嬉しそうな顔をしていたように見えたが?」

「優しくしてもらえたら嬉しいに決まってるじゃないですか。
 光秀さんも、たまには私に優しくしてくれてもバチは当たりませんよ?」

「お前の世話を焼くとバチは当たらずとも秀吉に睨まれそうだ。
 遠慮しておく。」

光秀さんは笑みを浮かべて去って行った。

「もう、なんなんでしょうねアレ!」

光秀さんに軽口を叩かれるのは好きなんだけど、頬が緩むのを隠したくてなんとなく怒ってみせた。

「まぁ、俺の趣味を邪魔するのは許せないからなぁ。
 その辺光秀はよくわかってる。」

「え、趣味って……?」

「紗代の世話を焼くことだ。
 おまえは素直に俺に世話を焼かれてろ、な?」

あぁ、秀吉さんの笑顔眩しい!

「じゃあ、とりあえずこれ運んでしまいましょう。」

どぎまぎして視線をそらした。
安土城、イケメンだらけで落ち着かない……。



…………




そしてまた別の日。

私は切れた鼻緒の直し方を秀吉さんに縁側で教えてもらっていた。
出先で鼻緒が切れて自分で応急処置できず困った話をしたら、教えてくれることになった。

「なんだ、意外と簡単なんですね。」

「だろ?あとは自分の足に合うように、留める前に長さを調節するだけだ。」

そう言うと、私の足元に屈む秀吉さん。

「自分でできますよっ!」

抗議する私を無視して足を取り、草履を履かせてくれる。
裾がはだけないように手で押さえた。
男の人に足を触られるのって、恥ずかしいな。
そう思っていると、後ろから声が。

「こんなところで睦み合いか?」

仰ぎ見るとそこには光秀さん。
私が何か言う前に、

「ほどほどにな。」

と笑うと行ってしまった。

最近、会うのはいつもこんなタイミング。
勘違いされ続けるのがもどかしい。



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