第19章 勘違い ー光秀ー
重い荷物を運んでいると、廊下で秀吉さんと行き合った。
「まーたお前はそんなに荷物を抱えて。
半分寄越しなさい。」
「あっ、ありがとうございます。
でも全然半分じゃない……。」
秀吉さんは、私からほとんどの包みを奪い取った。
「そうか?」
秀吉さんはいつも優しくてお兄ちゃんみたいに安心できる存在。
安土城にこういう人がいてくれてよかった。
顔を綻ばせていると、光秀さんが通りかかる。
「おや、これはこれは仲睦まじいことだな。」
「秀吉さんが荷物を持って下さっただけです!」
光秀さんはこうやっていつも私のことをからかう。
それはここへ来た時からずっとそうだったから、光秀さんの挨拶代わりのようなものだってことはわかっているのだけれど。
最近、どうやら私が秀吉さんに思いを寄せていると勘違いしている節がある。
察しのいい人なはずなのに、なんでそんな風に思われてしまったのかわからない。
男女の機微には意外と疎いのかな、と勝手に思っている。
私の好きな人、光秀さんなのになぁ。