第18章 天使と小悪魔 ーユーリー
「ミルク様!大丈夫?!
おまえ、何してるんだよ!!」
入ってきたのは、もう1人の俺。
「ユーリが2人……?」
俺の良心はつかつかとベッドサイドまで来ると、床に脱ぎ捨てられた執事服を見ながら言った。
「これ、どうなってるの?
起きてみたら、今日着るはずの執事服が一揃いなくなってるし、おかしいと思って急いで来てみたら……。」
「俺は心の中の悪魔ってとこかな?
そっちの俺と違って、自分の欲望に忠実でそれを満たすためならなんでもできる。」
「ユーリが分裂しちゃった、ってこと?」
ミルクは俺に捕らえられたまま聞く。
「良心を部屋に置いてきた、って言ったじゃん。
起きたら、2人に分かれてたんだよ。
多分こいつは心の中の天使の方。
自分の幸せは二の次な、優しい心の持ち主ってとこなんじゃない?」
「変な感じがするのはそのせいか……。
なんとなく分かったけど、おまえはミルク様に何してたわけ?!」
天使が怒り出した。
「こんな機会二度となさそうだから、ミルクを手篭めにしようと思ってたんだけど邪魔が入ったから中断してるとこ。
見たらわかるでしょ?」
「ユーリ、助けて!」
ミルクは俺の手を振りほどこうとする。